第4章 消化不良 〜 決断 〜 (最終章)

2012.07.03 Tuesday

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    今回の取材をより一層したいと感じた切っ掛けがある。

    それは、約1年前にカワベさんと会った時に聞いた
    「指輪一本に絞るですよ」の
    一言だった。

    今まで、指輪から始まり少しずつ色々な種類の
    作品創りにも挑んで来ていた…
    それなのに、なぜ今?

    作品の種類を増やすのは、たやすい事だが
    増やした種類を1つに絞るのは、とても難しい。

    その上、その種類の作品だけで勝負する事になると
    必然的に自分自身が、かなりの重圧を背負う事となる。

    それに、作品創りを生業としている以上、
    少なからず金銭的にも関わってくる。

    そう思った瞬間、私は事の重大さを察したと共に
    ただならぬ、想いがあると確信した。

    そして、同じ様にモノを生み出す創り手として
    この1年を見届け
    目に焼き付けたいと強く思った。

    そして、この事を多くの人に
    伝えたい…知ってもらいたい。

    私は、そんな想いを抱えて
    「なぜ 今、指輪一本に絞るんですか?
     そう思い始めた切っ掛けって必ずあると思うんです…」
    と聞いた…。


    すると、カワベさんは、
    まっすぐな眼差しで想いを話してくれた。


    「思い始めたのは、数年前で
     だんだんと幅を広げてやって来てたんですが
     注文(オーダー)で創る作品や
     自分が創りたくて新しく創る作品などの中に
     指輪やペンダント、ブレスレッドなどがあり
     その他にも
     サイズ合わせのみのオーダーや
     イメージリングなどもあるんですよ。

     日々、その事に対応にして行く中で
     自分が創りたいモノは
     自ずと後回しに、ならないと行けなくなって
     来てしまったんです…。
     なぜなら、その作品は
     ただ自分が創りたいだけだから…
     お客様が待っている訳でもないんですから…

     当たり前の事ながら、お客様から頂いたオーダーを
     優先すべき事だと頭ではわかっているんですよ
     でも、この状態がずーっと続くと
     完全に消化不良と言うか便秘ですよ」

    便秘と言う例えが出たので思わず笑ってしまったが、
    この話を聞いたとき、
    「ただ、自分が創りたいだけだから…」
    この言葉には、衝撃を受けたが
    私は、どの作品にも真正面から向き合う
    カワベさんの作品創りの姿勢を知った。


    そして、この消化不良の事の重大さがすぐにわかった。

    私も作品を創り出す上で、この消化不良に陥る事がある。
    やはり、「創りたい!!」と言う想いは
    とても大切で、そのタイミングを逃すと
    モヤモヤだけが、いつまでも残ってしまう。
    それを、上手く吐き出して消化しなければ
    次へ進んだとしても、
    その事へ戻ってきてしまい…うまくいかなくなる。

    カワベさんが作品創りを始めたのは
    「自分が出したいものを創る為だ」
    そうなると、この状態は完全にバランスを崩してしまっていると
    正直感じた。

    カワベさんは、この事を「本末転倒」と言う言葉で表した。

    ここで、私が声を大にして言いたいのは
    ただ、カワベさんが自分の為だけに
    消化不良を解消しようとしている訳ではない
    と言う事だ。 

    せっかく頂いたお客様のオーダーに
    今の状態のままで挑む事に対しても良いとは思っていないからだ。

    作品1つ1つのクオリティーも
    今のままで良いとは、全く思っていない。

    それは、お客様や作品に対して
    ただ、真摯に向き合いたいと思う
    カワベさんの素直な想いからだと思う。



    そして、数年前から抱えていた想いは
    自然と答えを導きだし
    決断へとつながっていった。

    その決断は、

    積み重ねた時間と引き換えに

    今を打破し

    次なるカワベ マサヒロの世界に挑む為の

    13年目のリスタート(再起動)だったのだ。






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